山形に残る、大正ロマンの洋風建築
旧吉池医院は1912(大正元)年、建築家・中條精一郎の設計で竣工しました。米沢出身だった吉池家先々代の当主・省吾氏が、同郷の中條に設計を依頼したと伝えられています。木造モルタル二階建、塔屋・玄関ポーチ・北面庇を備えた寄棟造り銅板葺きの洋風建築で、旧山形県庁舎より4年早く完成しました。先々代は眼科、先代・太郎氏からは小児科として、この建物で診療が続けられてきました。
2023年1月31日に閉院し、同年7月3日に吉池章夫氏が逝去しました。現在は「近代建築山形ミュージアム実行委員会」による公開の取り組みが続けられています。ENCAPSUは、この建物を3Dデータとして記録することで、公開日以外でもいつでも、どこからでも歩いて確かめられる記憶として残すことを目指しています。
空間を歩く
建築的な見どころ
塔屋
主屋に塔屋を備えた構成が、この建物の特徴的な外観をつくっています。塔屋の窓も、1・2階と同じく上げ下げガラス窓です。
玄関ポーチ
玄関ポーチと主屋上には鋳鉄製の欄干が飾られていましたが、2022年に撤去されました。門燈台や南側面小庇の金属製品にも、豊富な洋風建築の知識がうかがえます。
アーチ形の窓
両開きのアーチ形窓は1階正面のみ。それ以外の1・2階・塔屋の窓はすべて上げ下げガラス窓です。
2階応接室
壁面には舶来の壁紙が張られ、床は板張り。1・2階とも壁面から天井にかけて漆喰塗りとし、室内には立板腰壁を設けるなど、細部まで意匠が凝らされています。
非対称の意匠
やや堅苦しい左右対称の旧県庁舎に対し、吉池医院は非対称で装飾的な細部の多い意匠。中條精一郎が県庁舎設計にあたり様々な意匠をこの建物で試みたと考えられ、窓・屋根・天窓などに共通点が見られます。
凝灰岩の基礎
建物基礎は凝灰岩製の切石積み布基礎、外壁はモルタル洗い出し。小規模な建築に多様な様式的細部を適度に分散させてまとめ、意匠・施工ともに優れ保存状態も良好な、極めて評価の高い建物とされています。
部屋割り
延床面積 265.1㎡(Matterport実測)
1F
- 受付事務室兼薬局
- 待合室
- 小児科診察室
- 皮膚科診察室
- 暗室
2F
- 応接室
- ほか4室
With


